この度 当会のマラウイ・ファンドにて新たな支援活動を実施しましたのでご報告します。
いつも力強い応援をくださる皆さま、長きに渡り本当にありがとうございます。
また今回、マラウイ国の現地活動にてお力添えいただいたNPO法人ISAPH様、この度の支援はマラウイの人々の暮らしに大いに役立つと思います。このような機会をいただきありがとうございます。
以下NPO法人ISAPH様からいただきました支援活動報告書です。
お礼とご挨拶
はじめまして。事務局長の佐藤と申します。
この度は、私たちのマラウイ・ムジンバでのプロジェクトがより活性化するための、そして現地の保健医療の向上に資するご支援を頂き、ありがとうございました。
ISAPHは、色々な方や組織に支えられ2007年からマラウイでの活動を開始しました。幸いなことに現在に至るまで、現地事務所による事業を継続し、日本人職員2名を専属で配置することができています。しかし、より良い事業を実施し、継続するためには未だ不十分だと感じるものもあります。
それは資金だけではありません。分野を超える色々な知恵やノウハウ、アイデア、そして何より情熱です。一つの組織目標で、一次元的な価値観に染まってしまうことで、だんだんと現地の職員は疲弊してしまうことがあります。それを避けるためにも、組織を越えて、役割を越えて、「現地の人々の力になりたい!」と素直に感じていた初心に、また火をつけるための“仲間”が必要だと考えています。そのような意味で、この度のご支援は本当に有難いものでした。
ご資金と想いを預かり、それを果たすための責任は決して軽くはありませんが、私たちはこれからも「そっと応援する会」様と一緒にマラウイを見つめていくことができればと思っております。残念なことに、2020年以降、新型コロナウイルス感染症の猛威に襲われ、熱意が空回りになることも少なくありませんでした。ですが、このようなときこそ、共に語り、支え励まし合えれば嬉しく思っております。まだ見通しの立たない日々が続きますが、どうぞ、お時間がゆるせば、これからもお付き合いくださいませ。
では、この度のご支援により実現した事業について、ここに報告を差し上げます。そして、組織を代表して、改めて今回のご支援について心より感謝申し上げます。
最後になりますが、「そっと応援する会」様の今後のご発展とご活躍、そして更なるISAPHとの協働を心から祈念しております。
Manyamulaヘルスセンター管轄下
St.Annisヘルスポスト建設プロジェクト(最終報告)
2020年 11月 23日
特定非営利活動法人 ISAPH
元マラウイ事務所 池邉 佳織
そっと応援する会様のご寄付によりマラウイ国で実施しました標記のプロジェクトにつきまして、以下の通りご報告を申し上げます。
頂戴しました寄付金を用いて、マラウイ国におけるムジンバ県南部マニャムラヘルスセンター管轄下St. Annisヘルスポスト建設プロジェクトを実施しました。
【プロジェクト内容サマリー】
マラウイ保健省管轄のヘルスポストと呼ばれる施設は、5歳未満児の乳幼児健診や予防接種、体重測定や低栄養のスクリーニング、その後の保健指導・健康教育等、保健医療サービスを村落に提供するための重要な拠点となっています。しかし、ヘルスポストと呼ばれながらも建物がない地域があり、その場合は吹きさらしの木の下でサービスを提供することを余儀なくされています。雨季には大雨が降る事も多く、雨風を避ける事ができません。また、乾季には炎天下の中で子どもたちを待たせることもあり、「ヘルスポストとしての建物が欲しい」という保健ワーカーや住民のニーズがありました。このため、そっと応援する会様から頂いた寄付を、「ヘルスポストの建設に充てることで、①保健ワーカーにとってサービスが提供しやすくなること、②住民にとって快適にサービスを受ける事ができる環境を整えることの二点を目指し、より多くの住民が気軽にヘルスポストを訪れるようにしたい」と考えました。この施設により、ISAPHが同地域にて実施中のJICA草の根技術協力プロジェクトである栄養改善活動においても、健診等の参加者が増え、正確な身体測定が行えるなどの効果を期待することができます。
ISAPHのプロジェクトサイトであるManyamulaヘルスセンター管轄下15箇所のヘルスポストのうち、ヘルスセンターからのアクセス・人口・保健ワーカーが駐在していないなどの条件を保健ワーカーと相談しSt. Annisヘルスポスト地域に決定しました。同地域には使用されていない保育園の建物があったため、これをリノベーションして利用する事で建設費用を抑えました。
1.プロジェクト実施期間
2019年6月13日〜2020年9月1日
2.支出金額
1.1 受取寄付金総額 1,061,600マラウイクワチャ
(1,361ドル/146,089円、1ドル=107.32円 2019年8月15日レート)
(1ドル=780マラウイクワチャ 2019年8月25日レート)
1.2 支出総額 1,061,600マラウイクワチャ
*支出詳細は別添1を参照
*証憑は別添2を参照
(クリックすると拡大してご覧になれます)
*別添1
*別添2
3.建設背景
マラウイの医療施設には、公共の国立病院・県病院・ヘルスセンター、そして私立病院があります。県病院は各県に1つのみで、ヘルスセンターと呼ばれるクリニックのような施設は、ISAPHが活動するムジンバ県南部地域で30か所あります。住民はケガや体調不良になるとヘルスセンターへ受診に訪れますが、住民の居住地からヘルスセンターまでは遠い場合が多く、時には10~15㎞もの距離がある事もあります。そのため、マラウイ保健省はヘルスポストという拠点を各地に設け、妊婦・5歳未満児に対しヘルスセンターよりもより身近に保健医療サービスを提供する場所として機能させようとしています。
しかし、地域に保健医療サービスを提供する拠点となるべきヘルスポストには建物がない場合も多く、同施設への住民や保健ワーカーのニーズはとても高いものでした。
4.建設開始から完了までの経過(写真)
※写真はクリックすると拡大してご覧になれます
2019年9月:ヘルスポスト建設委員会立ち上げ、ヘルスポスト基盤作成
2019年10月:保育園施設屋根・壁等部分的に解体、椅子の建設開始
2019年11月:梁の設置、敷地拡張のため一部壁解体
2019年12月:トタン屋根設置、壁の左官開始
2020年1月: 外側壁一部左官完了、内側壁左官開始
2020年2月: 外装内装左官完了、椅子左官開始
2020年3月: 椅子左官完了、ドア設置完了、待合スペース床左官準備開始
2020年4月:窓ガラス設置、待合スペース左官完了
2020年6月:概ね建設完了。実質的な運用開始
2020年9月:ムジンバ県保健局公衆衛生部長による現地視察。建設完了を確認
建設前の、乳幼児健診の様子(Before)
建設後の、乳幼児健診の様子(After)
5.現地の声 HSA:Fresher Katazuka氏
ヘルスポストが建ち、これまでより乳幼児健診の参加者が増えました。そのおかげで、低体重児を見つける事ができ、健康的に育つ子供が増えたように思います。また、乳幼児健診に来た母親や子どもたちは、建設されたヘルスポストでゆっくり椅子に座り順番待ちする事ができます。環境を変えるチャンスを頂き、本当にありがとうございました。
建設完了に際し、Fresher Katazuka氏によるインタビュー(YouTube)
6.担当者より一言
この度はヘルスポスト建設へのご支援を頂きありがとうございました。
マラウイでは、ヘルスポストがなく体重を測るのも予防接種を打つのも屋外で行っている地域が多くあります。大雨が降れば参加者が少なくなってしまい、日差しが強ければ少ない木陰にぎゅうぎゅう詰めで待たなくてはなりませんでした。今回、建設された施設の中では、保健ワーカーも働きやすくなっているのが見てよく分かります。お母さんや子どもたちも、屋根と椅子があるヘルスポスト内で座り、安全・快適に乳幼児健診を受ける事ができています。
建設中は村の行事や農業、また新型コロナウイルスの影響を受けスムーズに進まない事もありました。しかし、ヘルスポスト建設という目標がコミュニティ内でも共有され、協力体制が少しずつ強まっていたように感じ、コミュニティにとっても良い機会になったと思います。
乳幼児健診だけでなく、村の様々な会議が建設されたヘルスポストで行われています。
ヘルスポストは、これからこの村の憩いの場として、長期にわたり住民に愛されると思います。そっと応援する会さま、並びにそっと応援する会を通し、ご寄付を頂きました“かのこさん” “のりおさん”の思いを今後も伝えていきたいと思います。
本当にありがとうございました。
元マラウイ事務所 職員 池邉 佳織
アルバム
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